導入事例インタビュー
日立建機株式会社
パーツカタログや各種マニュアル、営業資料に3Dデータを徹底活用。
グローバルに活躍する建機メーカー「日立建機株式会社」
※2009年のインタビュー記事となります。
会社概要
日立建機株式会社
設立 | 1970年10月1日 |
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本社 | 東京都台東区 |
資本金 | 815億7,659万円 |
事業内容 | 建設機械・運搬機械及び環境関連製品等の製造・販売・レンタル・アフターサービス |
ホームページ | https://www.hitachicm.com/global/jp/ |
XVL導入背景
日立建機でのXVL活用
建設機械や運搬、環境関連の機械をグローバルに展開する日立建機では、仕向け地やお客様の用途に合った製品を数多く出荷している。2000年に3D CADを導入し、パーツカタログへの適用が始まった。2000年から2003年までに22モデルへの適用を行い、制作費と工数をそれぞれ半減させるという目標ができた。
2006年より適用開始されたEU Stage 3Aの排ガス規制に伴うモデルチェンジでは、同時期に発売される機種数が増加したことによる作業量の大幅な増加が見込まれていた。
そのため、パーツカタログ、取扱説明書、サービスマニュアルの整備も急ピッチで進める必要があり、パーツカタログ作成のための新システムの提案が行われ、XVLを活用したソリューションが採用された。幹部や設計部の上層部からもこの提案に対する反対意見はなかったという。ある幹部は「この新しいシステムの適用がなかったら、乗り切ることができなかっただろう」と当時を振り返る。
XVL活用事例
これまでのパーツカタログ作成と新方式
一般的な油圧ショベルは、約15000点の部品から構成されており、作成されるパーツカタログは数百ページになる。さらに、1年間で200種類を超えるパーツカタログが作成されている。印刷されたパーツカタログは1年半程度で改訂される。そのため、パーツカタログ作成業務の効率化は、ビジネス拡大のための急務だった。
当初は、2Dの図面から、イラスト業者が手書きで作成し、Adobe Illustratorでイラストを仕上げていた。この方法では、多大な工数がかかるため、1枚あたり数万円のコストがかかる。この節減が課題となった。
次に、3D CADをイラスト作成業務に適用した。制作費は50%削減され、作成期間も30%削減できた。さらにこれまでは単一の方向から見た図で統一されていたものが、4方向のビューを採用したことで、イラストの視認性が向上した。
ところが、設計データは機密データのため、そのままイラスト作成業者に渡すことはできない。あらかじめ、分解などのデータ整備を社内で行う必要があり、準備にかかる社内の工数が2倍になってしまった。さらに、3D CADは操作が難しい上、データが重く、処理に時間がかかる。結果として、作成期間の短縮にはつながらなかった。
適用機種の拡大に備え、新システムの構築に着手した。その目的は、イラスト作成作業の効率化と費用の低減、汎用PCでの作業、部品構成情報の有効活用、印刷物と電子媒体の両方での活用、既存システムとの連携、そして、作業工程全体での期間短縮だった。
XVLは、CADと比較して、データ量は1/100以下になり、無償のビューワを利用すれば、誰もが参照できる。通常のパソコンでの編集作業もう容易で、結果の印刷やWebでの配信も可能だ。こうした特徴から、作業時間の短縮と作業効率の向上が期待できると判断し、新方式では、XVLソリューションを採用した。
まず、パーツカタログの1ページに表示される「装置」と呼ばれる単位ごとにCADデータをXVLデータに変換する。このXVLと部品構成表を使い、XVL PDM Connector (日立ハイテクソリューションズ)で、設計上の部品構成と後工程の部品構成を自動でマッチングする。さらに、XVL Studioを利用して部品単位に分解し、XVL Web MasterでSVG形式のイラストを生成する。できあがったイラストデータはAdobe Illustratorにより、サイズ変更および引き出し線や番号の位置修正など最終仕上げをする。
このフローに切り替えたことで、3Dデータと部品表のマッチング、分解作業などのモデルの編集、そして仕上げまで、イラスト作成の一連の作業をアウトソーシングできるようになった。さらに、イラスト作成のフローが確立したことで、イラストを描くスキルが十分でないスタッフでもイラスト作成が可能になり、作成コストを低減することにつながった
現在、3D設計が適用されている中小型の建機、クレーン、ミニショベルなどでは100%、その他の環境向けや道路向けの建機も新機種は100%が3D設計されているという。これらのパーツカタログはすべてXVLから生成されている。
XVL今後の展開
導入効果と今後の課題
新システムの導入により、当初の予想をはるかに上回る導入効果が得られた。作成期間は、3D CADデータから作成していたときに比較して、約20%短縮した。コストについても、ほぼ半減している。手作業でイラストを作成していたときに比較すると、それぞれ50%、85%の削減効果となる。結果的に年間数千万円レベルのコスト削減につながっている。
各種ドキュメントでのXVL活用
さらに、XVLを利用することで機能や構造が明確に伝わる図が手軽に作成できるため、販売促進用の資料にも構造を説明するためのイラストを掲載している。
また、カタログなどに使用する実機の写真撮影の際に、デザイナーやカメラマンと撮影カットの事前検証にもXVLを利用している。無償ビューワ上で角度を自由に変えて検証できるため、好評だという。
今後の予定
パーツカタログ制作においては、さらなる工数の削減を目標としている。最後に残った課題が既存システムとの連携強化である。
HOP(Hitachi Online Parts catalog)というオンラインのパーツカタログシステムが別に開発されており、これが社内でも古くから運用されてきた。もちろん、HOP内のイラストはXVLから作成されたものであるが、XVL ベースのパーツカタログのコンテンツそのものが利用されているわけではない。このシステム上でXVLベースのパーツカタログを稼動させることが計画されている。
また、取扱説明書・サービスマニュアル・営業資料において、より積極的に活用の範囲を拡大していく計画だ。
※2009年のインタビュー記事となります。
導入製品
製品詳細情報
XVL Studio Standard XVL Web Master
日立建機株式会社