“ 考える力 ” をつける為の Viewer 活用
-擦り合わせ品質向上を目指して-
トヨタ自動車株式会社
エンジニアリング情報管理部 部長江口 浩二 様
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事例紹介
トヨタ自動車株式会社
エンジニアリング情報管理部 部長江口 浩二 様
トヨタでは早くから設計業務への 3D CAD の導入と、XVL を使った 3D データの全社利用に取り組んでおり、そのための社内ユニット横断型の推進組織 「 エンジニアリング情報管理部 」 を設けている。同部 部長の江口浩二氏は、この組織のミッションについて次のように説明する。
「 設計部門が時間と労力を割いてせっかく作った 3D データなのだから、やはり全社で有効利用しないともったいない。そこでエンジニアリング情報管理部では、設計部門から出てきた 3D CAD データを整備して、後工程で使いやすいように流していくという仕事を行っている 」
トヨタでは、車両系の形状設計には CATIA を、そしてユニット系の設計には Pro/ENGINEER を利用しており、設計者がそれぞれを使って作成した 3D 設計データを PLM に登録している。それと同時に、登録された 3D CAD データに対応する XVL データが自動的にシステムで生成され、XVL Viewer で参照できる仕組みになっている。
こうして自動生成された XVL データを使った車両 1 台分のデジタルアセンブリを、1 車種の開発プロジェクトで 3、4 回は行い、また解析シミュレーションなどでも活用されるという。さらには設計部門以外でも、生産技術部門や製造部門、発売準備部門、物流部門などでも、XVL Viewer を通じた XVL データをさまざまな用途で活用している。
しかし江口氏によれば、トヨタが現在最も力を入れている XVL 活用のコンセプトは、社内外の 「 すり合わせ品質の向上 」 なのだという。
「 品質や性能の確保、あるいは原価目標の達成などのためには 『 すり合わせ 』 、つまり人と人とのコミュニケーションが極めて重要。これをスムーズに運ぶためのツールとして、3D ビューアが大活躍している 」
かつては、紙の設計書を大勢で囲む形で行われていたすり合わせだったが、現在では各部署に大型ディスプレイが設置され、ここに 3D データをビューアで映し出す形で行われている。また、海外拠点と同じ画面を共有しながらディスカッションできるようなシステムも構築・運用しているという。
こうした、ビューアを介したすり合わせは、社内の各所で行われており、例えば設計部門では設計者同士のレビューのほかにも、デザイン部門や生産技術部門とのすり合わせの場においてビューアが使われている。なお、設計者同士でのすり合わせの際には、場合によっては 3D CAD を使うことも多いが、設計以外の部署では 3D CAD の利用はハードルが高いため、もっぱらビューアのみを使ったすり合わせやコミュニケーションが行われているという。
例えば生産技術部門においては、生産設備に関する設備メーカーとの諸々のすり合わせや、治具の設計やレイアウトを検討する場においてビューアが活用されている。また生産技術部門と製造部門との間では、XVL の 3D モデル上で製造物の交差を可視化する取り組みも進められている。
さらには、発売準備部門が販売店に提供するサービスマニュアルの図版を XVL データから自動的に生成したり、あるいは包装材メーカーに部品の包装材を発注する際に、XVL の形状データを活用して包装材を部品間で共通化し、その種類をより少なく絞り込むような取り組みも進めている。このように、設計・製造だけに留まらない、幅広い業務におけるビューアの導入と、それによるすり合わせ品質の向上に取り組んでいるという。
現在トヨタでは、こうした取り組みをさらに進化させ、さらなるすり合わせ品質の向上、そして、ひいては従業員の “ 考える力 ” の育成を目指し、XVL とビューアのより高度な活用に取り組んでいる。
「 デジタルアセンブリの自動化やセキュリティの強化、さらには海外との密接なやりとりのためのデータ軽量化などに取り組んでいく。このように、今後とも 3D データを上手に活用することで、もっといいクルマづくりを追求していきたい 」
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