イベントレポート

XVL 3次元ものづくり支援セミナー2016 講演レポート

セミナーでの講演をレポートで公開します

事例紹介

ユーザー講演

Vmech活用事例
~設備組立後の立上げリードタイム短縮~

リコーインダストリー株式会社社
ES事業部 SI技術センター メカトロ第一技術室 制御技術一G 係長

近藤 慎介 様

リコーインダストリーでは、メカ設計領域には早くから 3D 技術を導入し、設計効率の大幅な効率化を実現してきた。しかしそれに対してソフトの設計開発、特にデバッグ作業は多くの課題を抱えており、全社目標である 「 リードタイム短縮 」 の足を引っ張りかねない状況だったと近藤氏は言う。

ソフトデバッグのコンカレント化によるリードタイム短縮

「 従来はハードウェアの実機が完成するまでソフトのデバッグ作業に着手できず、メカデバッグが長引くとソフトデバッグの時間が満足に取れなかった。また、メカ部門と実機デバッグ環境の奪い合いになるなど、何かと苦労が絶えなかった 」(近藤氏)

「 XVL Vmech Simulator 」 による実機レスデバッグ環境を導入

早速同社では、各ツールベンダーが提供する実機レスデバッグ製品の比較検討を開始した。「 実機環境の再現性の高さ 」 と 「 操作性の良さ 」 という2つの要件をより高いレベルで満たす製品を選定すべく、「 仮想部品の種類( アクチュエータ・センサ )」 「 シミュレータの応答速度 」 「 ソフトウェアの設定変更工数 」 「 機構の設定方法 」 の 4 つの機能を仔細に検証・比較した。

その結果、最終的にこれら 4 つの機能すべてにおいて優れた結果が得られた XVL Vmech Simulator の採用が決まった。

XVL Vmech Simulator の導入に伴い、同社ではメカ・エレキ設計プロセスのフローに変更を加え、従来はエレキの実機が完成した後に開始していたソフトデバッグを、実機完成前に XVL Vmech Simulator を用いて早期に立ち上げるコンカレント化を実施した。

その効果は早々に表れ、ある小規模計測設備の設計プロセスに XVL Vmech Simulator による実機レスデバッグを適用したところ、実機組立後のデバッグ時間を 57.3 % 削減することに成功した。その結果、設備の設計開発全体のリードタイムを短縮することができ、既存生産ラインに与える影響を極小化できたという。

また、中規模の検査装置の設計プロセスに適用した結果、実機完成後のデバッグ時間を 36 % 削減、大規模な組立装置への適用でも 68.4 % の削減と、規模や特性が異なる設備でも XVL Vmech Simulator による実機レスデバッグ環境は一定の効果を上げられることを確認したという。

当初想定していたリードタイム短縮目標をすべてクリア

2015 年 3 月に XVL Vmech Simulator を導入してから、わずか 1 年強の間の運用実績ながら、リコーインダストリーではリードタイム短縮や工数削減、設備品質の向上、コスト削減など、当初期待していた導入効果のほぼすべてが達成できたことを確認したという。今後はこれらの効果に加え、設備稼働後の設備保守や、対外的なプレゼンの場での活用、あるいは若手技術者の育成ツールとしての活用も視野に入れているという。

また同社では現在、産業用ロボットの導入・活用を進めており、2016 年 5 月からはこれに XVL Vmech Simulator による実機レスシミュレーション技術を適用する予定だ。この取り組みによって、PLC を用いた内製装置と産業用ロボットで構成される設備すべてを統合した実機レスシミュレーション環境の構築を進めていくという。

最後に、 XVL Vmech Simulator を用いた今後の取り組みについて、近藤氏は以下のように抱負を述べた。

「 現在では 1 事業所内での取り組みに留まっている XVL Vmech Simulator の実機レスシミュレーションを、今後は複数拠点に展開していくとともに、ゆくゆくは短期間での設備垂直立ち上げにも挑戦していきたいと考えている 」

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