イベントレポート

XVL 3次元ものづくり支援セミナー2018 講演レポート

セミナーでの講演をレポートで公開します

事例紹介

ユーザー講演

e-F@ctory によるものづくりの最適化

三菱電機株式会社
FAソリューション事業推進部 FAソリューション計画部
マーケティング担当マネージャ

安部 潤一郎 様

2018年5月11日(金)東京、8月3日(金)名古屋で開催された 「 XVL 3次元ものづくりセミナー2018 」 ユーザー講演では、三菱電機株式会社 FAソリューション事業推進部 FAソリューション計画部 マーケティング担当マネージャ 安部潤一郎氏 が登壇し、” e-F@ctory によるものづくりの最適化 ” と題して、同社が進める IoT ソリューションの紹介を行った。

「 エッジコンピューティング 」 により IoT のリアルタイム性を担保

安部氏は冒頭、製造業の IoT 活用が抱える課題について次のように述べた。

 「 今後爆発的に増えていく IoT データを、すべてクラウドに送信する事は、データ保存容量や応答性の観点から効率的とは言えない。例えば、産業ロボットや遠隔医療、自動運転といったリアルタイム性が問われる領域では、応答遅延が問題となる場合もある。そこで、 IoT データが生成される現場と IT システム(クラウド)との間に 『 エッジ 』 の領域を配置し、データのクレンジングや関連づけ、分析などの処理を行うことで、クラウドのデータ処理を減らし、現場側のリアルタイム性を確保することが可能になる。 」(安部氏)

 こうした考えをもとに、ものづくりに具体的に反映した IoT ソリューションが 「 e-F@ctory 」 だ。 「 FA 技術と IT 技術を融合したものづくりの最適化 」 というコンセプトの下、生産現場( FA )と IT システムの間にエッジコンピューティングの領域を設けることで、生産現場で生成された IoT データのリアルタイム処理による 「 個別最適の PDCA 」 、そしてエッジを介した現場と IT システムとの間のデータ連携を通じた 「 全体最適の PDCA 」 の双方を効率的に実現できるという。

「 e-F@ctory 」 と 「 Vmech Simulator 」 の連携ソリューション

 e-F@ctory の取り組み範囲は、工場内の設備やシステムだけに留まらず、工場外の IT システムやクラウドサービスにまで及ぶため、 1 社の技術だけですべてを網羅するのは難しい。そのため三菱電機では 「 e-F@ctory Alliance 」 と呼ばれるパートナープログラムを運営しており、パートナー企業との協業を通じて e-F@ctory ソリューションを広く、グローバルに展開している。

 現在 600 社以上のパートナー企業が e-F@ctory Alliance に参画しており、ラティス・テクノロジーもその 1 社としてソリューションを提供している。具体的には、3D シミュレーションツール 「 XVL Vmech Simulator 」 と、三菱電機の統合エンジニアリングツール 「 MELSOFT iQ Works 」 を連携させることで、各設計フェーズにおけるデジタル検証を実現している。

 既に三菱電機では、実機を使った試作検証にかかる時間や、手戻りによる作業時間と設計工数のロスを減らす目的で、 XVL Vmech Simulator を使った 3D 空間上でのデジタル検証を実践している。これにより同社では、機械・電気・制御からなる各設計段階でのデジタル検証とコンカレント開発により、設計ミスを早期に発見し手戻り作業を大幅に削減することに成功し、結果立ち上げ期間を 40% 削減することができたという。

 「 今後は、 XVL Vmech Simulator 上でより細かな挙動を再現し、実機のデバッグ環境にもっと近付けることで、机上デバッグのさらなるフロントローディング化を図っていきたい。そのためには、パートナーとしてラティス・テクノロジーさんと密接に連携しながら e-F@ctory をさらに進化させていきたい 」(安部氏)

「 Edgecross コンソーシアム 」 を通じた業界全体の取り組みにも貢献

 なお三菱電機は現在、 「 Edgecross コンソーシアム 」 の活動にも力を入れている。同コンソーシアムは、エッジコンピューティング領域において、機器や通信規格の違いを超えてつながり、データの収集と活用が容易になる様なオープンなプラットフォームを作り、企業や産業の枠を超えた新たな付加価値の創出を目指している。

 三菱電機は 7 社ある幹事企業の一角を占め、コンソーシアムの活動全体をリードするほか、ラティス・テクノロジーも 190 社( 2018年 8月時点)の参加企業の 1 社として活動に参画している。現在同コンソーシアムでは、メーカーごとに異なる通信規格の統一や、機器から収集したデータを効率的に管理し、ユーザーが使いやすい形にモデル化するなどさまざまな仕様策定を進めているという。

 また同社は、ものづくりへの AI 技術の活用にも積極的に取り組んでいる。

 「 現在、 『 Maisart 』 というブランドで AI 技術を展開している。弊社の AI 技術は、独自の深層学習アルゴリズムにより、学習期間を従来比 50 分の 1 にまで短縮することに成功している。このアルゴリズムにより 『 コンパクトな AI 』 として、さまざまな組み込み機器に搭載可能となっており、既に一部の FA 製品に搭載している。今後は弊社 FA 製品への積極展開や、パートナー企業のソリューションとも組み合わせて、 e-F@ctory の価値をさらに高めていきたい 」(安部氏)

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