実効性のある製造業 DX を目指して ~ 『M-BOM/S-BOM × Web3D』 による保守サービス業務変革
株式会社タツノ
技術管理室 DX 推進グループ
次長 足代 隆 様
係長 小西 理之 様
イベントレポート
講演内容をレポートで公開します
事例講演
株式会社タツノ
技術管理室 DX 推進グループ
次長 足代 隆 様
係長 小西 理之 様
2022年2月に開催された Web セミナー 「『PLM x Web3D』 で実現する製造業 DX ~世界三大ガソリン計量機メーカー 「タツノ」 における保守サービス変革」 において、株式会社タツノ 技術管理室 DX推進グループ 次長 足代 隆様、係長 小西 理之様より、同社における保守サービス業務変革の取り組みについて、プロジェクトの目的と実現方法の紹介。その後のスペシャルセッションでは、株式会社タツノ 取締役 研究開発本部長 兼 生産本部長 羽山 文貴様、株式会社図研プリサイト 尾関 将様、弊社代表取締役社長 鳥谷 浩志で対談を行った。
※ 本レポートでは足代様、小西様の講演内容をお届けいたします。
創業 111年を迎える株式会社タツノ (ホームページ:https://tatsuno-corporation.com/jp/) は、石油用機器の製造・販売・保守、危険物施設の設計・施工、土壌環境保全を事業領域とし、ガソリン計量機の国内シェアは 65% を超えトップシェアを誇っている。国内に 78 箇所の拠点と、海外にも 8拠点 (関連会社) があり、世界 80 以上の国と地域に販売展開している。同社では、ガソリンスタンド・石油プラントに関する各種製品を手掛けるとともに、水素ステーションや、EV、LNG なども視野に総合 (マルチ) エネルギーステーションをサポートすることで社会貢献を行っている。
タツノでは、既存の PLM を刷新する TPI (Tatsuno PLM Improvement) プロジェクトが進められ、それに伴い社内のエンジニアリングチェーンの現状・課題を分析した。明らかになったのは、開発・製造・保守の各部門で個別の課題を抱えており、それに加えて各部門で作成したデータがほとんど連携していないということだった。そればかりか、各部門で重複業務が発生し、業務効率が悪化しているという課題が判明した。
TPI プロジェクトでは PLM を刷新するとともに、これらエンジニアリングチェーンでの課題を解決すべく、ステップを踏んでのアジャイル的な導入を進めた。STEP1 では、使用する CAD との親和性から Visual BOM (図研プリサイト社の PLM ソリューション:ソリューションサイト) を導入、M-BOM 自動生成、データの一元管理ならびに生産システムとの連携などを実現した。STEP2 では、①STEP1 の定着化、②サービス BOM 構築、③XVL による 3D データの全社活用を 3つの目標に据え、DX (デジタルトランスフォーメーション) へと繋がるデジタル化の実現に取り組んだ。タツノは社会インフラを担う企業として保守サービス事業に注力しており、保守部門の課題解決と保守サービスレベルの向上を行うべく、3D パーツリストの作成と Web コンテンツでの配信に取り組んだ。
主力製品であるガソリン計量機では、多数の型式とオプションにより何万通りのバリエーションがあるため、これまでお客様毎の保守サービス用パーツリストを 1対1 で作成することは困難であった。しかし Visual BOM と XVL の持つ機能を活用することで、3D データと構成情報から仕向け先、製造番号毎の 3D パーツリストを自動生成出来る仕組みを構築した。また保守部品の特定 (型番一致等) に時間がかかる、在庫管理が上手くできないという保守部門の課題も、生成した 3D パーツリストと XVL Web3D Manager による Web コンテンツとしての配信により解決した。
※ データのフローは図1 参照、効果は図2、図3 参照
このシステムの構築により、
を実現した。
将来的には部品発注システムとの連携を図り、更なる業務効率の向上を目指す計画である。
今回取り組んだ保守サービス領域は、従来紙ベースの業務で最もデジタル化が遅れていた。開発部門では以前から CAD を使ってデータを作成しているが、設計検討用の目的に限定され後工程での活用という視点がなかった。開発部門が作成した 3D データを全社的に活用しようというのが今回の取り組みである。
ただし、その 3D データも 100% の充足率がある訳ではなく 70% 程度の完成度である。完成度を高めてから次のステップへ移行するという考え方もあるが、そのために長い時間がかかってしまうと、また周囲の状況も変わってしまう可能性がある。足りない部分はプロジェクト担当者が補っていきながら進めて行くというやり方が今回の取り組みの成功のカギである。
タツノでは、構築した DX 基盤を基に XVL を使った 3D の更なる活用を検討しており、VR での製造の検証や、遠隔のトレーニング、またアニメーションを活用した工程や組立資料作成に取り組む予定である。
(END)
・ 掲載されている画像は株式会社タツノより提供されたものです。
・ XVL はラティス・テクノロジー社の登録商標です。その他記載されている会社名及び製品・サービスは各社の商標または登録商標です。
株式会社タツノ 取締役 研究開発本部長 兼 生産本部長 羽山 文貴様、株式会社図研プリサイト 尾関 将様、弊社代表取締役社長 鳥谷 浩志の三者によるスペシャルセッション 「タツノに学ぶ、製造業における DX の進め方」 の様子を SPECIAL 対談記事として公開しています。
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~世界三大ガソリン計量機メーカー 「タツノ」 における保守サービス変革|講演レポート