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SPECIAL 対談|福井コンピュータアーキテクト × ラティス・テクノロジー

2020年6月25日

2020年
6月

クロスや屋根、リビングなどなど隅々までスマホで検討できる。
3D カタログ.com は神様だ

ラティスでは 5G 時代に向けて、”XVL Web3D” という、タブレットやスマホで 3D データを活用する技術開発を進めてきました。これをいち早く採用し、建築業界向けに 『3D カタログ.com』 を展開されている福井コンピュータアーキテクト株式会社のお二人にお話を伺いました。

※ 今回は新型コロナの影響を受け、それぞれが異なるロケーションから Web 対談を実施しました。


鳥谷:
本日はよろしくお願いします。まずは簡単な自己紹介をお願いします。

野坂:
建築業の ICT 化を支援する福井コンピュータグループの、福井コンピュータアーキテクトという会社の住宅建材事業部において、コアブランドである 3D 建築 CAD システムの 『ARCHITREND ZERO』 https://archi.fukuicompu.co.jp/products/architrendzero/index.htmlおよび、Web 上の 3D ショールームの 『3D カタログ.com』 https://www.3cata.com/の事業責任者をしております。

五十嵐:
私は 3D カタログ.com のデータ制作およびサイトの運営に責任を負っています。かれこれ 15年来、建築建材一筋です。

鳥谷:
ARCHITREND と言えば 3D 建築 CAD の中では突出したブランドですよね。

野坂:
我々の ARCHITREND ZERO は全国で 4万近いインストールユーザがいます。日本の新規住宅着工の 7棟に 1棟は、我々が間接的に関与しているという言い方もできます。

鳥谷:
事実上のデファクトですね。建築の世界では無償の Jw-cad など 2D CAD が根強いですから、3D 建築 CAD ユーザーに限れば、50% 近いシェアを持っているといえるのではないでしょうか。

野坂:
日本の住宅産業を支えていると自負しています。

鳥谷:
それでは、今日の主題、3D カタログ.com をご紹介いただけませんでしょうか。

野坂:
弊社では 30年にわたり、3D 建築 CAD の ARCHITREND シリーズを開発してきて、住宅データを作るという市場を切り開いてきました。しかしながら、住宅データだけでは不十分なのです。実際の家をイメージしてもらうとわかるのですが、住宅データに加えて、建材メーカーの設備や建材のデータ、そういったデータの集合体を加えて、初めて皆さんがイメージされる家になるのです。

鳥谷:
もう 15年以上も前ですが、初めて ARCHITREND で設計した住宅データを見た時に非常に面白いと思いました。その一方で何かリアリティが足りない。トイレやキッチンなどの建材データが入ってくることで、本当のリアリティが出てきたことを鮮明に覚えています。

野坂:
住宅データだけでは、施主様に提案する際には、おおまかなイメージの共有に留まります。実際作り始めると、必ず当初のイメージとの乖離が出てきてしまいます。住宅データを少しでも実物に近づけるためにどうすれば良いだろうか、という問いを続けてきた結果として生まれたのが 3D カタログ.com です。3D カタログ.com は様々な建材メーカーの 3D データを公開し住宅データと組み合わせることで、様々なプランの検討ができる Web のサービスになります。

鳥谷:
建材商品の集合体としての住宅、これを完成させるために、3D カタログ.com 上にさまざまなメーカーのキッチン、トイレ、バスルーム、壁紙といった商材を 3D で提供するサービスを始めたということですね。

野坂:
建材データを 3D で設置していくことで、住宅は現物に近づいていきます。ARCHITREND のユーザーである住宅メーカー様からも、建材データを組み合わせたいという要望が多く上がっていました。それぞれに異なる施主様の要望を、住宅データの中に如何に精緻に再現していくか。しかも、極力手間や時間をかけずに。施工前に施主様にお見せして、「これがお客様のご要望の家です」 と言ってもらえるものが表現できることを追求してきました。

五十嵐:
昔は大工さんが職人芸で、現場で建材を調整し組み合わせて作っていました。しかし時代の流れで、昨今は施主様の好みも多様化して、その多様化した好みに対応すべく建材の色、形、バリエーションが増加して、現場合わせは、ほぼ不可能です。いかに現実に即したものを設計段階で見せるかは、重要な課題となってきています。

鳥谷:
時代が豊かになって建材が多様化したわけですね。設計段階では、どのようなポイントが重要となるのでしょう。

五十嵐:
まず大事なのはサイズ感です。建材がスペースに収まるか、収まらないかはとても重要な要素です。従来はカタログを調べて、図面と付き合わせなければわからない作業でした。3D カタログ.com では、例えば L 型のキッチンにした際に、どの食洗器であればスペース的に収まるのかということが、瞬時にわかります。その結果、設計段階で、デザインや価格を施主様と、住宅メーカー様が共有しながら進めることができるようになりました。

鳥谷:
3D カタログ.com の 3D の建材データは精緻に再現されていますが、御社で独自にモデリングされているのですよね。

五十嵐:
はい、そうです。当初はメーカー様のカタログを隅々まで目を通して、地道にデータを再現、そのデータがあっているかどうかを確認いただくという作業を愚直に繰り返し、データを充実させていきました。段々その姿勢を評価してもらえるようになりました。

この建材と、この建材は組み合わせられないという禁足処理もあるのですが、そのあたりも事前に情報の提供をいただけるようになり、そちらも 3D カタログ.com では反映させています。

3D カタログ.comで表示したシンク

鳥谷:
日本の建材業界のルールが、3D カタログ.com に反映されているということですね。メーカー横断的にルールを把握しているということは、最高の建材のプロ集団を持っているということになります。他にも何か価値を提供していますか。

野坂:
サイトの利用状況が見れるようにしております。自社の建材データがどの程度、住宅の中にスペックインされたのかを見ることができます。他社との比較もできるので、バーチャルな住宅データの中に、如何に自社のデータを入れてもらうか、各社が知恵を絞られています。

鳥谷:
素晴らしいですね!3D データを利用したマーケティング情報が価値を持ち始めたということですね。3D カタログ.com で商談が決まった話というのはあるのでしょうか。

野坂:
それはもう数限りなく聞いています(笑)。住宅メーカー様からは、3D カタログ.com がないと、もう仕事にならないというありがたい声もたくさんいただいています。

鳥谷:
そんな中 3D カタログ.com において、何故 XVL を採用いただいたのでしょうか。

野坂:
元々は、ARCHITREND で XVL を採用していたことがきっかけです。ARCHITREND を通して XVL の力、そしてラティスの開発力を知っていましたから。

五十嵐:
XVL を選んだポイントは、具体的には大きく 2点あり、その軽量性と表現力です。多くの建材データを管理していく上で、その軽量性は非常に重要です。スマホや、タブレットといったアクセス環境が多様化する中で、どれだけ実物に迫れるかというリアルさを追及するハードルは年々上がってきています。今回もお願いして、レンダリングの質を大幅に引き上げてもらっており、2020年 6月のサイト改修の目玉となっています。

鳥谷:
窓の開閉の表現などをとっても非常に複雑な技術で構成されており、他社が開発しようとしても数年単位の日時がかかるものだと思っています。

野坂:
XVL ありきの検討ではなかったのですが、結局 XVL でしか実現し得なかったというのが正直なところです。社内でも、3D カタログ.com の実現は無理だろうと囁かれていたのですが、XVL はそのハードルを軽々と越えてくれました。

鳥谷:
ありがとうございます。頑張って開発してきた甲斐がありました。ところで 3D カタログ.com は、XVL Web3D* をご採用頂いて、マルチ端末、マルチブラウザからアクセス可能になっていますが、どういった環境から一番アクセスされていますか。
*XVL Web3D:製品紹介ページ(サイト内ページにリンクします)

野坂:
施主様だと、スマホから 3D カタログ.com を見られていることが多いですね。3D カタログ.com には、ご提案機能があります。家を建てたり、リフォームする際に、住宅メーカー様との打ち合わせで、図面に付箋を貼って、このクロスの色を決めてくださいとか、仕様決めを行いますよね。設計段階だけでなく、ある程度プランが進み、住宅会社が提案してきたデータのイメージを見ながら、施主様自身が異なるクロスを入れてみたいということでシミュレーションをすることができます。

最終的には現物での確認にはなるのですが、3D カタログ.com を介して、住宅メーカー様と、施主様のコミュニケーションが頻繁に行えるようになったことで、両社の距離が縮まり、出来上がるものへの満足度も高まっていると聞いています。

鳥谷:
3D モデルのバーチャルモデルでシミュレーションを行って、最後の最後は現物でというのは最近製造業で起こっている流れと同じです。アフターコロナの時代には、施主・建材メーカー・住宅メーカーの物理的な距離は離れても、Web 上での距離は近づくかもしれませんね。

五十嵐:
最近 SNS の投稿で、主婦の方から面白い投稿があり、社内で話題になりました。「クロスや屋根、リビングなどなど隅々までスマホで検討できる。3D カタログ.com は神様だ」、というのです。あまりの持ち上げっぷりに、身内の投稿ではないかと勘繰ったぐらいです。

鳥谷:
とても素晴らしいエピソードですね。我々もうれしくなります。私は 3D カタログ.com は、建築業界の標準的な 3D プラットフォームになるのではと期待しています。施主、建材メーカー、住宅メーカーのそれぞれに Win があるからです。すでに 5万ユーザーを超えたという 3D カタログ.com ですが、今後はどこへ向かって行くのでしょうか。

野坂:
3D カタログ.com に関しては、ビジネスサイクルが漸く回り始めた段階です。もっと多くの建材メーカーに参加してもらってデータを増やす。もっと多くの住宅メーカー様に参加してもらって 3D カタログ.com の恩恵を受ける施主様を増やしていく。地道ではありますが、このサイクルを回し続け、ビジネス規模を大きくしていきたいです。住宅建築の世界でも、今後はネットで、家のプランを作り、実際にそれを立てるということが増えてくるでしょう。3D カタログ.com の貢献できる場面はますます広がるでしょう。

鳥谷:
本日は長時間に渡り、興味深いお話を聞かせていただき有難うございました。6月の 3D カタログ.com のアップデートで、更に業界を席巻されることを楽しみしております。

END

・XVL はラティス・テクノロジー株式会社の登録商標です。
・その他記載されている会社名および製品名は各社の登録商標または商標です。

プロフィール

福井コンピュータアーキテクト株式会社 執行役員 住宅事業部 部長 兼 営業本部 営業部 部長 野坂 寅輝様

福井コンピュータアーキテクト株式会社
執行役員 住宅事業部 部長
兼 営業本部 営業部 部長
野坂 寅輝 様

福井コンピュータアーキテクト株式会社 ABM本部 3Dカタログ事業部 コンテンツ課 課長 五十嵐 賢吾様

福井コンピュータアーキテクト株式会社
ABM本部 3Dカタログ事業部
コンテンツ課 課長
五十嵐 賢吾 様

福井コンピュータアーキテクト株式会社

ハウスメーカーや工務店、建築設計事務所などに、戸建住宅の設計に特化した 3次元 CAD システムや、ビルなどの大規模建築物の設計を支援する BIM 対応 CAD システムなど、主に建築 CAD システムの開発・販売を行っています。国内における CAD システムの納入実績は約 40,000社におよび、国産の建築専用 CAD ではトップシェアを誇っています。近年では、最新技術の VR を使った提案や、建材・住宅設備のモデルデータをインターネット上で活用するサービスなど、3次元データを活用した新しい取り組みで建築業界の 3次元化をリードしています。

・設立:2012年7月2日
・本社:〒910-0297 福井県坂井市丸岡町磯部福庄 5-6
・ホームページ:https://archi.fukuicompu.co.jp/

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